「何のためにマーケティングするのか?」という問いに、あなたならどう答えるでしょうか。
「モノやサービスを売るため」と答える人が多いかもしれませんね。
部分的には正解といえますが、それがマーケティングのすべてではありません。
マーケティングの理論は時代とともに変化し、その役割はどんどん広がりを見せています。
たとえば企業が成長するには、人材の力が不可欠です。
優秀な人材を獲得するためには、「この会社で働きたい」と思われるように企業の魅力を高める必要があります。
マーケティングによって企業の魅力を高めることは、人材を獲得する以外にも、さまざまな効能があります。
たとえば投資家から投資を受ける際にも、当然マーケティングが必要になるでしょう。
マーケティングから目をそらした企業や組織に、未来はないのです。
冒頭の問いに対し、シンプルに回答するとしたら、「企業や組織が社会に貢献し続けるため」という答えが的確でしょう。
マーケティングは販売活動(セリング)と混同されることが多いのですが、その実はまったく異なります。
マネジメント研究で有名なピーター・ドラッカーは、マーケティングは「販売を不要にする技術だ」と述べています。
マーケティングは、モノやサービスをつくり出す前からスタートします。
すでにある商品を売るセリングとは、この点で根本的に異なります。
近代マーケティングの祖フィリップ・コトラーも、「マーケティングは生産物の処分方法を見つけるためにあるのではなく、本物の顧客価値を生み出すための技術だ」といっています。
仮説を立て、生活者の欲求や願望を調べ、これまでに存在しなかったモノやサービスをつくる。
顧客が求めているものをつくり出すのですから、こちらから売り込まなくても、「売ってください」といわれるでしょう。
また、マーケティングによって顧客が気づいていない需要を掘り起こすことも可能です。
マーケティングは新たな市場と顧客を創造するのです。
『マーケティングの教科書』マイナビより