2021.05.17
「いまの仕事は自分に合っていない。ちがう仕事を見つけたほうがいいのかな」
若いビジネスパーソンには、そんな思いを抱えている人が少なくないようです。
仕事について間もない新入社員でも、“自分に合う仕事”はほかにある、と思っているフシがあります。
しかし、そんなものはありません。
自分に合う仕事を求めていたら、いつまでも放浪を続けることになります。
いまついている仕事に自分を合わせていくしかないのです。
「そんなことをいっても、合わない仕事じゃ、楽しくないじゃないか」
あなたは、どこかに楽しい仕事、おもしろい仕事が、あると思っているのですか?
たしかに楽しそうに仕事をしている人はいます。
おもしろさを見出している人もいるでしょう。
しかし、それは、仕事がそうさせてくれているのではありません。
その人自身がその仕事を楽しんでいる、おもしろくしているのです。
幕末に長州(現・山口県)で騎兵隊を組織した高杉晋作の辞世とされる(そうではないとする説もあります)歌を見てみましょう。
「おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものは こころなりけり」
病の床に伏していた高杉が詠んだ“前句”に、看病にあたっていた野村望東尼(ぼうとうに)が“後句”をつけたともいわれていますが、おもしろくもない世の中も、心しだいでおもしろくなる、と詠っているのです。
ちょっと心を変えてみませんか。
「合わないな」「つまんないな」というところにとどまっていないで、何か楽しいこと、おもしろいことを見つけてやる、という気持ちで仕事をしてみてください。
その仕事を外側から見てあれこれ判断するのをやめて、まるごと飛び込んでみたらどうでしょう。
合う、合わない、楽しい、つまらない…を決めるのは、それからだって遅くはないのです。 臨済宗全生庵住職、平井正修氏