2021.05.13
《携帯電話の扱いについて》
ラトガーズ・ビジネススクールのサンゴーン・カンとテリー・クルツバーグ両教授の研究によって、休憩中に携帯電話をいじると、携帯電話にまったく触れずに休憩時間を過ごすのと比較して、頭脳の回復が効果的におこなわれないことが明らかになった。
「人々の携帯電話中毒がますますひどくなっているのだから、時間を見つけては自分の携帯電話に手を伸ばすたびに、意図しないコストが生まれている事実を認識することが大切だ。
人々は、携帯電話だけが特別ではない、人とのやりとりや休憩といった類のものと同じだと考えてはいるのかもしれないが、この研究は、携帯電話が予想以上に知的活動にとってや厄介至極なしろものかもしれないことを教えてくれている」
携帯電話はまた、対面でのトレーニングや教育を受けているときには、とりわけ煩わしい存在になる。
ある研究によれば、「携帯電話を使わない学生は、携帯電話を絶えず使っている学生と比較して、ノートに書き留める情報が62パーセント多く、講義から得た内容をより詳しく思い出せ、しかもテストで満点に近い成績をおさめていた」。
学習するときに、脇に携帯電話を置いておくだけでも、邪魔になる。
なぜなら、そばにあるとわかっていると、頭はその携帯電話をずっと意識し続けるからだ。
電話がなくて落ち着かないと感じるなら、やはり手の届かないところに置くほうがよいと研究者は考えている。
自分の携帯電話をバックパックやブリーフケース、財布、はてはクルマやオフィスに置いておくだけで、自分の集中力がいかに高まるのか、驚かされることになるはずだ。
新たな課題へと転換する、すなわちスイッチするたびに、自分の頭の中にあるその課題に関連した情報を呼び起こす。
もし絶えず課題スイッチするのなら…あることをしているあいだにも、しょっちゅう携帯電話をチェックするというように…変えるたびに時間とエネルギーが失われていく。
これらは“スイッチング・コスト”と呼ばれている。
たとえば、ミシガン大学の研究者がおこなった研究によると、知的な活動の成績は、被験者がひとつの課題を達成しないうちに次の課題にスイッチする行動をとった場合、30パーセントから40パーセント低下するという。
このようにスイッチング・コストによって時間とエネルギーが失われるために、マルチタスクの取り組みを避けたいと思うようになる。
これがポモドーロ・テクニックの不思議な側面だ。
つまり、この側面のおかげで、マルチタスクに誘い込む邪魔ものにわずらわされることなく、“ひとつ”の課題に集中できるのだ。
『学び方の学び方』アチーブメント出版