2021.05.12
読者が本書を手にしているのは、学習の内容がどんなものであれ、勉強をしている時間の1分1秒までもとにかく有効に使いたいと思っているからだろう。
そこで、本書の冒頭で、学習の世界におけるもっとも単純でもっとも強力な知的活動のツールを紹介しよう。
それはポモドーロ・テクニックだ(1980年代にイタリア人のフランチェスコ・シリロが考案したもので、この名称は丸いトマトの形状をしたキッチンタイマーからつけられている。ポモドーロとはイタリア語でトマトのことだ)。
この賢い手法は間違いなく集中力を高めてくれるだろうし、それは研究からも明らかになっている。
1. 勉強する、あるいは仕事をしようとする場所に腰を下ろし、邪魔になりそうなものを排除する。
つまりこうすることによって、コンピュータ画面に不意にポップアップが出る、携帯電話が鳴る、そのほか気をそらすものが何もないという状態ができあがるわけだ。
2. タイマーを25分に設定する。
3. 設定した25分間、できる限り徹底して勉強や仕事に没入する。
もし、気が散っても目の前の対象に意識を戻そう。たいていのものは、25分間手を付けなくてもすむし、先延ばししてもよいものだ。
もしそのほうに手を付けなければという思いが強くなって気が散ったら、それをポモドーロの時間が終わった後でする“必須”リストに書いておこう。
4.ポモドーロの時間が終わったら、約5分間の褒美の時間をとろう。
好きな歌を聴いてもよいし、目を閉じてリラックスする、散歩をする、お茶を入れる、犬や猫を抱いてかわいがる、などなど、なんでも自分の気持ちを自由に穏やかにしてくれる、そんな褒美の時だ。その休憩時間は、また、携帯電話や電子メールのチェックを忘れてしまえる最高の瞬間なのだ。
5.忠実に繰り返す。
もし、2時間勉強したいと思ったら、毎回5分の休憩を入れてポモドーロを4回繰り返せばよい。
もしその休憩が終わっても勉強に戻る気になれなかったら、休憩専用のタイマーも別に設定することだ。