社長ブログ

「裏を見せ 表を見せて 散るもみじ」

2021.03.13

昨今、マスコミやSNSで芸能人や有名人の罪を必要以上に攻める傾向がある。

キリストの言うように、「我々の中で、罪のない人がいるだろうか?」。

自分のことをさておいて、人の罪ばかりをなじったり、非難するのは、あまりに無責任すぎる。

他人事だとよけいに激しい言動になるのは、マスコミやSNSの常だが、それにしても人を傷つける言葉が飛び交っている。

終戦直後、日本ではこんな事件があった。

1947年(昭和22年)10月、東京地方裁判所の山口良忠判事(34歳)が、栄養失調のために死亡した。

法律違反の闇市で食料を買うことを拒否し、正式な配給の食料だけで生きようとしたためだった。

山口判事本人は、闇市で食料を売ったり買ったりしている庶民を「食糧管理法」違反で裁く立場にあったので、法律を守る立場から、法律違反のヤミの食料に手を出すわけにはいかないと考えた。

つまり、日本国民は当時、山口判事以外はすべて闇市で食料を購入するという法律違反をしていたということだ。

現代でもそれは同じだ。

どんな小さなことであれ、法律違反を一度もせず、人の道に反する道徳規範を破っていない、と言いきれる人はひとりもいないだろう。

「裏を見せ 表を見せて 散るもみじ」という良寛さんの歌にあるように、人は、善と悪、正と邪、真と偽、明と暗、陽と陰、実と虚、等々の「裏と表」を見せ、それらを時によりさらけ出して生きている。

罪は厳しく問われるべきだが、「そこから先は神の領域」なのかもしれない。

誰かを非難したくなったとき、我が胸に手を当てて自問したい…