《努力する気がないなら結婚するな》
少し過激な言い方ですが、これは科学的にも裏付けがあるのです。
ポジティブ心理学の権威である米カリフォルニア大学のソニア・リュボミアスキー教授は、次のように述べています。
「さまざまな科学的な調査から言えることは、今より幸せになりたいと思うのなら、スポーツに取り組むように、日常の出来事に取り組まなければならない」
要するに、「ある日寝て起きてみたら、急に幸せになっている」なんてことはない、というわけです。
スポーツだって、毎日トレーニングをするから技術も上がっていくのです。
幸せになるにもそれ相応の行動や努力を継続しなければならないはずです。
言われてみれば当たり前のことですね。
さて、あなたはパートナーとの関係をよりよいものにするために努力する気はありますか?
結婚したら、パートナーは一番身近な存在となります。
その相手と、「温かな人間関係」を築くことができないのであれば、幸せにはなれない…結婚はしないほうがいいのかも?
幸せな人生を送るために、パートナーの存在は必要でしょうか?
パートナーシップについては実に多くの研究がありますが、科学的な研究では総じて、「結婚していない人よりも結婚している人のほうが平均的には幸せな人が多い」という結論になっています。
しかし最近では、その差は小さくなってきているという事実もあります。
トータルで15年の追跡調査をしたドイツの研究では、結婚する前と結婚した後では、結婚後のほうが平均的な幸福度は低い、と位置付けているものもあります。
「結婚をしたほうが幸せなのか?」
「結婚をしないほうが幸せなのか?」
結論から言うと、その差は「努力次第」のようです。
「努力すれば、すごく幸せ。努力しなければ、墓場」…とまでは言いませんが、努力をしなければ、結婚前より幸福度は下がります。
では、ちゃんと努力したらどうでしょうか?
「温かな人間関係」が一番身近にある状態になり、とてつもなく幸せになります。
では、具体的にどんな努力をするといいか?
その前に、結婚に関する感情のメカニズムをお伝えしておきましょう。
それは、「結婚による幸福度の高揚は2~3年」ということです。
つまり、「結婚した」こと自体の幸せは2~3年しか続きません。
これは科学的にも証明されていることで、いわゆる「恋愛ホルモン」は3年経過するとほとんど分泌されなくなると言われています。
そのかわりに、ベータエンドルフィンなどの“安心感”を覚えるホルモンが分泌されます。
「好き」というより「居心地がよい」と感じるようになるのです。
私たちは脳の「順応」という機能によって、つまり“慣れてしまう”ことによって、ときめきがなくなっていきます。
「結婚した」という事実自体が、高揚した幸福度を元に戻してしまうのです。
ドイツの研究の結果、追跡調査中に恋人と結婚したある男性は、結婚したことにより幸福度は平均値以上に上昇。
しかし、2年も経過しないうちに幸福度は結婚前より落ちてしまい、それから5年経過すると、さらに幸福度は減少していました。
一方で、ある男性は結婚したことで幸福度が平均値以上に上昇し、8年経過してもなお、幸福度は結婚前よりも明らかに高い状態なのです。
いったいこの二人の男性は何が違ったのでしょうか?
実はここに、科学的に「パートナーシップで幸福度を高める」ためのヒントが隠されていたのです。
8年経っても幸福度が高いままだった男性は、パートナーと一緒にいることを当たり前のことだと思わないと心に決めていました。
この男性は妻に対して「愛しているよ」と絶えず言葉にし、折に触れて花を買って帰りました。
また、旅行にも連れていき、妻が挑戦することやうまくいったことに関心を示すのを忘れない「努力」をしていました。
一方で、2年も経過せずに結婚での幸福度が平均以下に落ちてしまった男性は、結婚生活が“自分の理想どおりではなかった”ことにまず失望しました。
妻と一緒に暮らす中で、相手がしてくれることを当たり前だと思い、その後、妻との関係がゆっくりと悪化していることに本人も気がついていなかったのです。
何となくおわかりですよね?
そう、注意すべきは、結婚生活=相手がしてくれることへの「慣れ」です。
私たちの脳は、「順応」の機能によって、どんなことでもいずれは慣れてしまいます。
たとえば、どんなにうれしいことでも、それが“当たり前”になってしまい、ありがたさを感じなくなります。
パートナーシップも同様です。
「パートナーがいれば幸せ」「結婚すれば幸せ」は、完全に間違った思い込み。
「パートナーとともに『幸せになる努力』をするからこそ、幸福度が増す」というの真実です。
しつこいようですが「彼氏、彼女ができて幸せ」「結婚して幸せ」は幻想!努力が必要なのです。
目を覚ましてください。
まずは何でもない日に、パートナーに感謝のプレゼントをしてみましょう。
ケーキを買って帰る、お花を買って帰る、パートナーがほしがっているものを買って帰るなど、何でも構いません。