2020.12.15
かつて、松下幸之助翁が「ダム式経営の話」を講演したとき、一人の聴衆として京セラの稲盛和夫氏がいたという。
ダム式経営とは、ダムが水をいつもたたえているように、何か緊急な事が起きても余裕をもって経営できるようなた「たくわえ」が必要、との教えだ。
講演の後、聴衆の中の一人が質問した「今の自分には、余分な資金も『たくわえ』もない。どうやってそれをためたらよいか」と。
すると、幸之助翁は「『たくわえ』が必要だと思わなあきまへんな」と答えたところ、聴衆からは失笑がおきたという。
「そんなことは、誰でもわかっているが、その方法がわからないから聞いているのに」、と。
しかし、稲盛氏だけは、「まったくその通り」と、素直に深く感動し、まだ小さかった京セラを高収益の大企業にした。
何千人という聴衆の中でこの教えを実践したのは恐らく稲盛和夫氏ただ一人だったろう。
我々は、素晴らしい講演を聞き、魂に響く本を読み、感動するが、それを本当に実行する人はごくわずかだ。
齋藤一人さんは、「要は、自分に必要ないからすぐ忘れちゃうんだよね」と優しく言っているが、『あなたはそういう「成功する法則」を必要としていない人なんだよね』、とバッサリ切っている。
実際、どんなに素晴らしい講演でも、本であっても、その人が本気で必要としなければ、すぐにきれいさっぱり忘れてしまう。
そして、そういう成功法則を否定したり非難する人は、「あなたはそう思っているんですね」ということで、何も賛同してもらう必要はない。
自分の人生、どうなろうと自分の勝手だ。
「人生は甘くない」と思っていれば、甘くない人生を歩む。
「人生は怖いことだらけだ」と思っていれば、怖いことが必ず起こる。
「人生、そんなにうまくいくはずがない」と思っていれば、うまくいくはずがない。
「ダム式経営」のごとく…