2020.11.29
小林正観さんは、現在の円通寺のことをこう書いている。
『現在、円通寺の住職をしておられるのは、仁保(にほ)和尚という方です。
お寺を訪れたとき、あまりに笑顔が素晴らしいので、私は魅了されました。
良寛和尚もこのような優しい笑顔の持ち主であったのかもしれないと思いました。
以前、仁保和尚のもとに、自分の子どもが不登校だから直してもらえないかという相談を持ち込んだ人がいたそうです。
仁保和尚はこのように答えました。
「私にはそれを解決する力はありません。
ただ、毎日早朝に座禅を組んでいるので、それに参加して、何か一緒に考えることは構いませんよ」
そのお父さんは不登校の子どもを連れて、毎日車で通いました。
そして半年もたったときに、そのお父さんからこのような話を聞いたそうです。
「毎日送り迎えで2時間ほど車に乗っているうちに、息子とたくさん話をするようになりました。その結果、不登校の問題が解決し、息子は明るい子どもになりました。大変ありがとうございました」
「私には力がないから、そのようなことはできません」と言った仁保和尚の謙虚さ、温かさというものは、どうも仙桂和尚や良寛さんとともに円通寺に受け継がれている思想なのかもしれません。』