デイビッド・エプスタイン氏は、本の中でこう語ってます。
『タイガー・ウッズ型の道筋には、寄り道や、幅や、実験はほとんど存在しない。
タイガーの育て方が人気なのは、そのやり方がシンプルで、不確実性が低く、効率が良いからだ。
それに、誰もがタイガーのように他人に先んじたい。
これに対して、実験を続ける道筋はシンプルなものではない。
しかし、それは多くの人が歩む道で、得るものも多い。
ディーン・キース・サイモントンのクリエイティビティーの研究によると、優れたクリエーターは、生み出す作品が多いほど失敗作が増えていき、同時に画期的な作品を生み出す可能性も高まる。
トーマスエジソンは1000件以上の特許を持っているが、大半は取るに足らないもので、却下されたアイデアはもっとあった。
シェイクスピアには、『リア王』や『マクベス』などの作品もある、あまり評価されていない作品もある。
独創的なクリエーターは何度も三振するが、大きな満塁ホームランも打つ。
私が探究しようと決めた問いは、「超専門特化がますます求められ、また自分が本当にやりたいことがわからないうちに何になるかを決めなければいけない中で、幅(レンジ)や多様な経験や領域横断的な探究を、どうやって実現するのか」ということだ。
成長のスピードは人それぞれであり、他の人を見て後れを取ったと思わないことだ。
その代わり、実験を計画しよう。
多様な経験を持つ個人は専門家のグループよりも創造に貢献するという。
もし、ある分野から全く別の分野に移っても、その経験がムダになることはない。
最後にもう一つ、専門特化は、少しも悪いことではない。
程度の差はあっても、みんなどこかの時点で専門を決める。
ただ、あちこちに寄り道しながら考え、実験するほうが、特に不確実性の高い現代では力の源になる。
ヘッドスタート(未就学児童のための教育)は過剰評価されている。
高裁判事のオリバー・ウェンデル・ホルムズは、アイデアを自由に交し合うことについて、こう書いている。
「それは実験である。人生すべてが実験であるように」』
プロになるために必要なのが、「1万時間の法則」だと言われる。
それに加えて、野球のイチローのように、3歳から練習を始め、小学校3年からは365日の中で360日激しい練習をしていたというタイプでなければプロにはなれない、と思われてきた。
子どもの頃から専門特化だ。
しかしながら、スポーツの世界でも、ビジネスの世界でも、若い頃は色々なスポーツや仕事を経験をして、失敗もしたり、挫折したりした人の方が、実際、成功した人は多い。
なぜなら、そこには「偶然」とか「予期せぬ出会い」という自分の努力では引き寄せられない「運」のような要素が絡むからだ。
こんな言葉がある。(成功は“ランダム”にやってくる!)より
『成功者は、偶然の出会い、突然のひらめき、予期せぬ結果などを経験している。彼らは運命を変えた瞬間のことを振り返り、「あの瞬間がすべての始まりだった」と言う』