『スターバックスの使命は、会社として成長しながらも主義・信条において妥協せず、世界最高級のコーヒーを提供することである』
◆お互いに尊敬と威厳をもって接し、働きやすい環境をつくる
◆事業運営上での不可欠な要素として多様性を積極的に受け入れる
◆コーヒーの調達やばい煎、新鮮なコーヒーの販売において、常に最高級のレベルを目指す
◆顧客が心から満足するサービスを常に提供する
◆地域社会や環境保護に積極的に貢献する
◆将来の繁栄には利益性が不可欠であることを認識する
スターバックスはこのミッションステートメントに刻まれた理念と価値観を最上位に掲げ、経営戦略や組織目標を定めそれを実現するための短期的な目標やアクションプランへと展開し、体系的に組織全体をマネジメントしています。
すなわち、ミッション・マネジメントを実践する企業なのです。
ミッションステートメントの中で特筆すべきは、第一項目と第二項目が「人」それも従業員のためにかかれた項目になっていることです。
スターバックスの経営姿勢を最も端的に表現していて、「まず人がいてそれからビジネスが始まるんだ」ということをはっきりさせているのです。
続いてミッションステートメントは「提供する商品」を語り、ハワード・シュルツがイタリアのエスプレッソバーで受けた感動を自分たちのビジネスで表現するために、
品質に対して徹底的にこだわり、常に最高品質のレベルを目指し維持することを宣言しています。
そして、「顧客の満足」と「地域社会と環境への貢献」をうたい、最後に「収益性」に言及しています。
この本の『あとがき』にはこんなことが書いてありました。
あるチェーンストアで社員研修をお引き受けした際、社長からこんなお話を伺った。
「我々はチェーンストアの基本を大切にしてきました。
その甲斐あって80年代に大きく成長し今日があるわけですが、バブルがはじけてからのこの十年は本当にしんどかった。
もう一度原点に立ち返り基本から見直してきましたが、結論として何も変えることができませんでした。
われわれは、これからもチェーンストア理論を基本にした運営をしますが、それだけではもう駄目なのです。
結局商売は店対店の戦い。
今までのように本部の言うことだけをただ黙って従っているだけの店では生き残れません。
これからは、自ら考え意欲を持って行動する人材を育てなくてはならないと考えています」と。
毎日毎日が目まぐるしく変化する現代。
情報化の時代も相まって、顧客のレベルが急速に上がっているのに、店の対応が旧態依然としたまま。
昔ながらの、本部から店へという「指示命令型」のマネジメントはとっくに通用しなくなってきている。
自らが自律して考え、行動する「自律型」の組織に転換できなかったところは、残念ながら、市場から消え去る運命にある。
自律型になれば、人は集まり、定着はよくなり、そして楽しそうに働くようになる。
いまこそ、自律型組織のに舵(かじ)をきりたいですね。