2020.09.01
司馬遼太郎の小説の中にこんな一文があります。
「竜馬は英雄ですか」
「においはあるな」
「しかし、かれは学問はありませぬ」
「もろこしの項羽(こうう)は、文字は名を記するに足る、といった。
英雄の資質があれば、それで十分さ。書物などは学者に読ませておいてときどき話させ、よいと思えばそれを大勇猛心をもって実行するのが英雄だ。
なまじい学問などをやりすぎれば、英雄がしなびてくる」
竜馬も、ニコニコした。
その笑顔が、ひどく愛嬌があり、(おお、みごとな男じゃ)と西郷は思った。
漢(おとこ)は愛嬌こそ大事だと西郷は思っている。
鈴虫が草の露を慕うように万人がその愛嬌に慕い寄り、いつのまにか人を動かし世を動かし、大事をなすにいたる、と西郷はおもっている。
もっとも、西郷の哲学では、愛嬌とは女の愛嬌ではない。
無欲と至誠からにじみ出る分泌液だとおもっている。 《竜馬がゆく》 『人間というもの PHP文庫』より
パナソニックの創業者、松下幸之助氏は、松下政経塾の面接試験の選考基準を聞かれて、「運の強そうな人と、愛嬌のある人やな」と答えたという。
愛嬌のない人は、男女を問わず、とくに年長者からは好かれない。
可愛げがないからだ。
可愛げがない人は、プライドが高そうに見え、愛想がない。
いつもツンツンしているように見え、素直さがなくて、感謝が足りない。
そして、笑顔がない。
愛嬌のある人と一緒にいると、なぜかこちらも笑顔になり、ふわっとあたたかな気持ちに包まれる。
そして、また会いたくなる。
愛嬌力を磨きたいですよね。