2020.08.20
令和元年という新時代の幕開けに紙幣刷新が発表され、「新一万円札」の図柄に選ばれたのが、この渋沢栄一です。
メディアは、渋沢栄一が何者であるかをこぞって取り上げ、「近代日本資本主義の父」と改めて紹介した。
その功績は、渋沢が設立に関わった著名企業を概観しただけで一目瞭然です。
第一国立銀行(現みずほ銀行)を初め、東京ガス、王子製紙(現王子ホールディングス)、
東京海上火災保険(現東京海上火災)、秩父セメント(現太平洋セメント)、秩父鉄道、京阪電気鉄道、東京証券取引所、
麒麟麦酒(現キリンホールディングス)、サッポロビール(現サッポロホールディングス)、
東洋紡績(現東洋紡)、大日本精糖、明治製糖、帝国ホテル、澁澤倉庫など多種多様で、その数は五百社以上にのぼる。
渋澤なくして日本産業界の発展はあり得なったと言ってよいでしょう。
渋沢の素晴らしさは実業家としての先見の明や経営手腕だけでなく、「生き方」と「思考法」にあることを見落としてはならない。
渋沢は著書『論語と算盤(そろばん)』で、「ビジネスは論語(道義)に則って為すべきである」と、経営哲学を説く。
ひらたく言うと「金儲けと道徳は相反するように受け入れられているが、それは間違いである」ということです。
両者は矛盾などせず、論語(道徳)に則ってビジネスすることが結局は利益につながるとする。
彼の思考法は「金儲け」と「道徳」という一見、矛盾の関係にあるものを統合し、より高みの視点から見ることにある。
すなわち、私たちが渋沢から学ぶべきことは、「二者択一」というデジタル思考にとらわれず、
相反するように見える事柄を統合し、Win-Winの関係にもっていく、その思考法にあるんですね。