2020.08.04
禅語に「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」というものがあります。
人は本来、いっさいのものを持たない、まったくの空(くう)、絶対的な無の存在である、ということです。
ですから、心に塵(ちり)やホコリが積もることもないし、煩悩(ぼんのう)もないし、悟りというものもないと、この禅語は教えています。
「体露金風(たいろきんぷう)」という禅語もあります。
「体露」とは生まれたままの姿のこと。
「金風」とは、気持ちのいい秋風のことです。
見栄や分別、欲を捨てて、生まれたままの赤ん坊のような気持ちでいれば、清々しく生きられると、この禅語はいっています。
人生ということに引き寄せていえば、なにも持たない裸で生まれてきて、やはり、なにも携えずに死んでいくのが人の人生というものなのだ、ということ。
「人生は、手ぶらで生きて、手ぶらで死ぬのがいい」
ということです。