脳はあなたが勉強を始めるのを待っています。
脳はやる気に満ちているだけでなく、成長できる準備がいつでも整っている器官でもあるのです。
脳を細胞単位で見てみましょう。
脳内は、「ニューロン」という特別な細胞がつながって、信号を交換し合っています。
しかし、このつながりは固定されたものではありません。
このニューロンの仕組みを、道路にたとえてお話しましょう。
私たちが学んで脳に取り入れた情報(勉強の内容や運動、お稽古の手順など)は、繰り返すたびに、強い情報となっていきます。
それはあたかも脳の中で、情報伝達のための「道路」が建設されるようなものです。
脳は最初、とにかくどんな道路もつくってしまいます。
そして徐々にその道路の使われる回数に応じて、
「この道路はよく使われるから『高速道路』にしよう」
「この道路はいらないから壊そう」
と判断し、効率よく脳を使えるように整えられていくのです。
このような脳の発達の仕方は、大人も子どもも同じです。
大人の脳内でも、スピードは緩やかになるとはいえ、その道路建設会社は仕事をし続けています。
ふだんからしっかりと仕事を与えていれば、どんどん事業を拡大して、道路建設のスピードはアップする(=脳が若く保たれる)でしょう。
これは80代になって、90代になっても変わりません。
このように、脳というのは自ら変化し、成長するという特徴を備えています。
これは「可塑性(かそせい)」と呼ばれます。
諦めなければ、その人なりのスピードで、脳はどんどん進化していく。
そして、そのスピードは上げていくことができる。
脳を動かさなければ錆(さ)びてしまうのは、機械も同じです。
再度動かすためには、動かし続けていたときの何倍ものエネルギーが必要になってしまうでしょう。
ですから大人になった私たちは、自分自身で脳の建設会社に、断続的に仕事を発注して、働かせ続けることが求められているのです。
これが、大人こそ勉強を大切にしてほしい、大きな理由です。
では、私たちがこれから、自分の思うように脳を変えていくために大切なことは何か?
それは、「知的好奇心」です。
脳の成長には、年齢も学歴も関係ない。
それが私たちの知っておくべき真実といえるでしょう。
前頭前野の刺激となる「勉強を続ける」ということは、明らかに脳の老化を防ぐ一つの方法です。
ですから、たとえば生涯に渡って勉強を続けられた方は、そうでない方と比べると、脳の老化は格段にスピードダウンするでしょう。
つまり「知りたい」「学びたい」「達成したい」といった意識を常に持っている人というのは、脳の機能が保たれるということが、もう明らかになっているのです。