2020.04.18
清代末期の政治家・曾国藩(そうこくはん)は、四耐四不訣(したいしふけつ)という言葉を残しています。
「冷(れい)に耐え、苦に耐え、煩(はん)に耐え、閑(かん)に耐え、激(げき)せず、躁(さわ)がず、競(きそ)わず、随(したが)わず、もって大事を成すべし」
冷に耐える。
冷は冷ややかな目を表し、冷たい仕打ちや誤解に耐えるということです。
苦に耐えるは、文字通り苦しいことに耐えること。
人は様々な苦を体験します。
煩に耐えるは、忙しさや煩(わずら)わしいことに耐えること。
閑に耐えるは、暇に耐えることですが、これがなかなか難しい。
経営者であれば仕事のない時期をどうすごすか、サラリーマンであれば煩(はん)に耐えての会社勤めを終え、年金生活に入ってどう過ごすか。
これらのことに耐え、つまらないことに腹を立てず、ものごとが上手く運んでも調子に乗らず、よけいな競争をせず、かといって何でも言いなりになってはいけない、という戒めです。
困ったことが起きると、空元気を出しても、後から見ると何かしょんぼりして見えるものです。
人の心はすぐ後ろ姿に表れるものです。
昔の偉人の中には、牢(ろう)に繋(つな)がれる逆境に耐えて大を成した人もいます。
ガンジーは、静かな牢の中を最良の勉強部屋として、そこから出るたびに多くの人々を啓発しました。
吉田松陰は、同じ牢の罪人や看守まで巻き込んでともに学び、牢屋を教室に変えました。
まさに四耐四不訣の実践者といえるでしょう。
『人生を導く先哲の言葉』致知出版社より