2020.04.12
『現在、国連加盟国は193ヵ国あります。
その中で、最も歴史が長い国は「日本」です。
たしかに日本より古い国はありました。
中国大陸の商(しょう)や殷(いん)という王朝や、エジプトの早期王朝などがそれにあたります。
しかし、日本より古い国はすべて滅びてしまいました。
現存する国のなかで、世界最古の国は「日本」なのです。
考古学の成果により、最も短く見ても過去1800年間、一度も王朝交代がなかったことが分かっています。
1800年前の大王(後に天皇と呼ばれる)の居所や墓がかなり巨大であることから、起源はさらに数百年遡(さかのぼ)れると考えるのが一般的です。
我が国は2000年以上続いているといえます。
日本に次いで古い国はデンマークが約1000年、三番目はイギリスの約950年で、アメリカやフランスは比較的新しい国になります。
中華人民共和国や大韓民国は戦後建国した新しい国です。』
また、拓殖大学教授、野村進氏のこんな言葉がある。
『日本以外のアジアの国には、古い店や長い歴史を持つ会社が意外なほど少ない。
帝国データバンクの調査によると、金剛組のような千年以上続く老舗(しにせ)が7社。
500年以上が39社、300年以上が605社となっている。
200年以上は韓国ゼロ、中国9、インド3に対して、日本はなんと3000。
世界に7000あるといわれる200年企業のうち、実に半分近くが日本に集中していることになる。
また、老舗研究の専門家によれば、100年以上は世界の中でも断トツの10万軒以上にのぼるのだという。
同じアジア圏内にありながら、片やゼロ、片や何千という違いが出るのはなぜだろう。
そこには、次の三つの理由があるのではないか。
一つ目は、過酷な内戦や侵略がなかったこと。
他国からの侵略、あるいは内戦の期間が長ければ長いほど、その国には老舗が残っていない。
朝鮮半島などはその典型的な例だろう。
二つ目は、継続を美徳とする価値観があること。
例えば日本には、饅頭一筋何百年といった老舗が多数存在し、店の人もお客も、そのことを誇りにしている向きがある。
しかし、韓国や中国ではそうした評価を得られない。
もし饅頭で一旗あげれば、さらに社会的ステータスの高い仕事に移っていくべきだと考える。
三つ目は、ものづくりを尊ぶ伝統があること。
特に、自分の手を汚して何かをつくることをよしとする価値観が日本にはあるが、それ以外のアジアの国では、下賎(げせん)の民のする仕事とみなされがちなのである。』
(月刊致知 2月号(2011年)“老舗企業を貫く志”)より