2020.02.20
自分の弱さに勝つことが大切。
ところがそう言うと、自分はそんなに強い人間ではないのです、と反論する方がいます。
そんなのは言い訳です。
人間なんて、みんな弱くて、ずるくて、悪いもの。
だから少しでもよくなろうと努力をするのじゃないですか。
生きるってことは、そういうことです。
なのに、みんな忘れている。
己が己が、俺が俺が、私が私が、そんなことばかり考えて、そのくせ、楽なほうへ、楽なほうへ行きたがる。
人の干渉を受けるのが嫌だからとか、面倒な思いをするのは嫌だからと、現実から逃げている。
気力はないのにプライドだけはあって、そのくせ自分で何かを得るための行動はしない。
最悪です。
だけど実のところ、人間というのはもともとそんなものなのです。
社会に適合して上手くやっているように見える人でも、裏を返せばみんな根はぐうたらで、だからこそ自分をコントロールしてなんとかやっていこうと努力している。
自分は大丈夫なんて思っていても、ふとしたきっかけで自信を失ったりすると、そういうぐうたらで投げやりな生活に陥る危険を、誰もがもっているのです。
ですから、どんな状況になっても、自分は駄目だなんて決めつけてはいけない。
そう思う前に、鏡をみて、身なりをこざっぱりとして、もう一度チャレンジしてみることです。
仕事がない、病気で動くのがしんどい、それはたしかに辛(つら)いでしょう。
だからといって全部を諦めることはない。
死にさえしなければ、少なくとも生きてさえいれば、何かしらのチャレンジはできます。
復活のチャンスは、必ずあるのです。
あとは自分自身がやるか、やらないか。
最近は聞かなくなってしまいましたが、私たちの時代には、ふんどしを締め直せ!とよく叱咤(しった)されたものです。
失敗をするのは気持ちがゆるんでいるからだ、気持ちがゆるんでいるのはふんどしがゆるいからだ、というわけです。
無理やりな理屈のようですが、これは私の飛行機乗りの経験からしても、けっこう一理あるなと思うのですよ。
かつてはそうやって活を入れてくれる人がいたものですが、いまはほとんどいなくなってしまった。
ならば、これからの時代は、自分で自分に活を入れなければならないのでしょう。 <茶道裏千家・大宗匠、千玄室>