2022.09.08
武道や茶道、あるいは神道の礼儀作法はとてもゆっくりです。
間(ま)があるからです。
たとえば、お辞儀をするときは、「残心(ざんしん)」が必要だといいます。
残心(ざんしん)は、武道でもよく使われる言葉です。
技を決めた後でも、相手の反撃に対して油断をしない、という心的態度であり、かまえでもあります。
剣道では、一本とったあとガッツポーズなどしようものなら、驕(おご)りや慢心があり、「残心なし」とみなされ、一本を取り消されることもあるといいます。
残心は、最後まで気を抜かない、深みのある美しい所作です。
ほとんどの人は、お辞儀や礼をしたあと、頭を下げて何秒かそのまま待っていることができず、すぐに顔を上げてしまいます。
そういうお辞儀や礼は、ちょこんと頭を下げるだけの、心のこもらない軽いものとなってしまいます。
頭を下げたあと、さらに何秒かその状態で待っているのは、我慢の「間」で、心の余裕が必要です。
そして、余裕のある人には、また会いたいと思わせる余韻(よいん)があります。
まさに、「ゆっくり」が人の魅力を形(かたち)作るのだと思います。