社長ブログ

生きた芝居

2022.08.20


松下幸之助氏のお言葉より…


まあ、私は80年の歴史をもっていますが、私が今までやってきたなかで、いちばんむずかしい時代やなという感じがします。

少々不景気であるとか、少々困難であるとか、少々物騒な時代もありました。

その間(かん)三ベンも戦争がありました。


けども、いつの時代よりも今が一番むずかしい。

見た目にはいちばん物があって結構な状態ですが、その本質というものを探ってみると、非常にむずかしい状態ですな。

このむずかしい状態をほんとうに救うには、このむずかしい状態にふさわしい革新的な方法を考えないといかん。

かつてないほどむずかしい時代ですから、かつてないほど革新的な良案を生み出さないといかん。

そういうことを創造しないかぎりうまくいかないんやないか。

それが今、お互いの双肩にかかっている問題やないかという感じがするんです。


けれども、見方によれば、非常にいい時代に生まれあわせたともいえるんやないかと思います。

今、これはほんとうに生きた芝居ですよ。

歌舞伎やとか、そういう芝居を金を出して見て、「ああ面白いなあ、役者はうまいことやりよるなあ」と言うて、われわれは観賞しています。


しかし今、世界は、この世の中は、ほんとうに生きた芝居である。

そしてわれわれは俳優である、ほんとうの俳優である、主人公そのものである。

お互いが立役者になって、今そういう芝居をしていると思わないといかん。


そいう芝居をしている今日、自分というものを考えてみると、千載一遇の機会に生まれたのやと、こう思っていいと思うんですね。

かつてありえない人生に遭った。

お互いがそいう時世に遭ったということ、過去何千万、何億人のだれよりも恵まれた時代に生を得たことを喜んで、名優としての芝居をうたないといかん。

そういうような感じをもたないといかんということです。


しかもその芝居は、自分が芝居をすると同時に人が見ている。

また自分も見ている。

全部それは無料である、見料は要らないというようなことを考えてみますと、血沸き肉躍ると申してもいいような面白い時代に生まれあわせたと思うんです。