2022.08.08
よく何でも百科事典のように物知りな人がいる。
ああ、それ知ってる知ってる、というわけで、何かとうるさく口を出すタイプの人である。
そういう人に対して私は、
「ああ、わかった。だけどあんたの持っている知識は、それみんな過去のことなんだよ」
といってやることにしている。
「おれが知りたいのは、未来なんだ」
未来というものはたしかに過去とつながってるものであるから、あくまで便宜上、過去を知るということは必要だ。
ただし、われわれが本当に知りたいのは未来である。
知識というのは、それを使って未来を開拓するのでなければ価値はないのだ。
オートバイを出したとき、これで自転車はみんななくなるといわれた。
自動車が普及して、こんどはオートバイが駆逐されると巷間でいわれた。
ところが実際はどうだろうか。
みんなあたっていないでしょう。
オートバイも自転車も、形を変えてどんどん売れている。
既成の観念にとらわれることほど、人の考えを誤らせ、道をとざすものはないんです。
常識にそった考え方を推し進めていくと、本田技研そのものが立ちいかなくなる。
常識を破る、そのことでしか会社の永続はない。
私はずっとそう確信してやってきた 本田宗一郎