社長ブログ

人生は心であり...観念

2022.08.05

古い日本の歌に、「おもしろき事もなき世を、おもしろく住みなすものは心なりける」というのがあります。

さらに西洋の哲学者オリヴァ・インデス・ホルムスの言葉に、

「およそ楽観歓喜の観念は、神が人間の生命をより新しく甦(よみがえ)らせるために与えた霊液(れいえき)とも言うべきもの。これに反して憂愁(ゆうしゅう)、煩悶(はんもん)、恐怖、憤怒(ふんど)、悲観、苦労というような消極的観念こそは、命を腐らす毒錆(どくさび)のようなものである」

というのがあります。


つらつらとこの歌とこの言葉を照らし合わせるとき、そこに相通ずる人生哲学と人生科学とを発見するのであります。

わかりやすく言えば、たのしい、おもしろい、嬉しい、という思いが心の中に生じた時ほど、朗(ほが)らかな生きがいを人生に感じられる、ということなんです。


そして、それがどんなに健康にも運命にも、はかりしれない大きな効果を与えるかわからない、ということに思いいたるとき、よりいっそうの貴い価値を感じるのです。

どんな名医や名薬といえども、たのしい、おもしろい、嬉しい、というものにまさる効果は絶対にないんです。

これ、私は私の長年の経験で断言いたします。


わかりやすく言うとね、朝おきた。

頭が痛い。

普段なら「やれ薬だ、医者だ」、なんて騒いでるのに、そこへ好きな人がひょっこり来た。

そうすると頭が痛いのもなにもかも忘れて、そりゃもう夢中になってべらべらおしゃべりしたり、抱きついたり…。(笑)


嬉しくて楽しいもんだから、頭が痛いのすっかり忘れて治っちゃってますよ、その間。

これ、どんな名医や名薬にもまねできない芸当です。


これ観念の作用です。

あなた方が、「ああ、たのしい」「ああ、嬉しい」って思ってると、もう、イキイキと生き甲斐のある人生に生きていられるんですよ。

病なんかも忘れて。

逆に「ああ、いやだな」「ああ、つまんないな」なんて思って生きてると、熱はでるは頭は痛くなるわ、もうだんぜん、生き甲斐のない人生になってしまうんです。


もうおわりでしょう。

人生は心であり、観念であります。

これこそが、あなた方の人生を極楽にもし、また地獄にもすることができうる、唯一のものなんです。


いいですか、よくお考えください。

「極楽だ、地獄だ」と感じているのは、あなた方の心でしょう。

あなた方の心が地獄だと感じれば地獄になってしまうんですよ、あなた方の人生が。

ですから何かがあれば、「ああ、たのしいな」「ああ、うれしいなあ」って思うようにすればいいんですよ。  中村天風