2022.06.21
道場六三郎氏の話は興味深い。
氏は十七歳で料理の道に入りました。
修業時代はいつも「人の二倍は働こう」「人が三年かかって覚える仕事を一年で身につけよう」と思っていました。
早く一人前になりたかったのです。
仕事では「早くきれいに」を 心がけ、さまざまな工夫をする。
ネギを切るのに、人が二本切っていたら三本を持って切る。
それができたら四本、五本と挑戦する、というふうでした。
だけど、スピードアップだけでは人の二倍の仕事はできない。
効率よく働くには段取りが不可欠。
「冷蔵庫の中を仕切り、どこに何が入っているかメモを扉に貼っておくと、指示されたものをすぐに取り出せ、庫内の温度も上がらない。冷蔵庫の開け閉めなんて些細なこと、と思うようでは一流の料理人にはなれない。そういう細かい部分まで意識し、先の先を読むくらいに頭を働かせないと、少しくらいの腕があっても大成しません」
道場氏の言です。「心一つの置きどころで料理の鉄人は生まれた。」