2022.05.25
維新の志士の一人である坂本竜馬は、よく西郷隆盛と話し合ったそうです。
しかし、会うたびに竜馬の意見は変わっていきました。
そこで西郷さんが「あなたの意見は昨日と今日とでは違うじゃないか。
そんなことではあなたのことばを信用できない。
天下の士として信じられる者には不動の信念がなければならない」と言って非難したらしい。
そのとき竜馬は、「いや、そうではない。孔子も『君子は時に従がう』といっている。
刻々と時は移り、社会情勢もどんどん変わっている。
だから昨日の是が今日の非になるのは当然である。この“時に従がう”ということ、これが君子の道なのだ」と言い、
「西郷さん、あなたは一度こうだと考えると終始一貫、それを守りつづけようとされるが、それでは時代に取り残されてしまいますよ」と忠告したというんですね。
この話はほんとうなのかどうかわかりませんが、今日のようなめまぐるしい時代には、西郷さんより竜馬の意見に自分としては賛成したいですね。
最近は老舗(しにせ)といわれるところでもつぶれていくところが少なくないですよね。
それは、多くの場合、過去のノレンにとらわれて、社会の移り変わりに対応できないところに一つの原因があるように思います。
もちろん、先代や先々代が営々として築いてきたノレンは、店の信用がこもった大切なものです。
けれど、変化の激しい今日、ただ過去のノレンに頼っていては明日の発展は生まれません。
常にお客さんの要望を適切にキャッチし、刻々とそれにこたえるよう努めて、日々新しい信用を生み出していくことが大切なんですね。
たとえ自分の会社でヒット商品を出したとしても、それに安心するのではなく、
その商品をライバルとしてすぐつぎのよりお客様に喜ばれる商品を考えていく、
そういう日に新たな姿を生み出していくことこそ大事だと思います。
今日の最善は明日になればもう最善ではない。
明日は明日の最善を生み出していかなければならないということなんですね。