2022.05.09
トーマス・エジソンは七歳にして、学校の教師に教育の見込みがないとして見限られた。
その教師はエジソンがいる前で教育委員にこう言ったのだ。
「この少年は頭が混乱しているので、これ以上学校へ来ても無駄です」
偉大な人々が無名時代に、これと似たような形で誤った烙印を押されたケースがいかに多いか......これは注目すべき点だろう。
私は以前大学の掲示板でとても面白いものを見かけた。
教師が担任の子供にいかに誤った評価を下しているかを示す見本一覧表である。
それは以下のようなものだ。
《アブラハム・リンカーン》
四カ月しか学校へ行っていないことを思えば学業成績は大変優秀。
しかし空想家でよくバカげた質問をする。
《アルバート・アインシュタイン》
彼はクラスでも特殊な存在。十歳になるのにようやく簡単な読み書きができるようになったばかりである。
上達の様子は見られるが、この子に対してあまり高い成果を求めるべきではない。
《アメリア・イヤハート》
(女性パイロットの先駆者) 私はアメリアのことを大変心配している。
この少女は利発で好奇心に満ちているが、考えることは無謀で、関心はもっぱら昆虫や床を這いまわっている虫に向けられている。
何とかすればこの少女の好奇心の対象を女の子らしいものへ向けることができると思うのだが......
名テノール歌手のカルーゾーは教師から悪声だと言われた。
探検家として有名な海軍少将のバードは「軍務に不適切」とされ海軍を退役している。
また『若草物語』の作者ルイザ・ メイ・オールコットは編集者に「大衆にうけるベストセラーは決して書けないだろう」と言われたことがある。
こうした話のおもしろさは次の点にある。
教師や上司といった権威ある人間が自分の運命の決定者ではないことを、偉大な人々は人生の初期で早くも理解したことがはっきりとわかるのだ。
彼らは自らの運命の決定権を自分自身に与えたのである。
努力をすれば逆境に打ち勝てることに気づき、上からの否定的な予想が間違いであることをはっきり証明してみせたのだ。
この強靱な精神力こそが、彼らのその後の人生の数々の挑戦において強力な武器となっているのである。
『今できる事から始めよ!―あなたには夢としか思えないことを成し遂げる力がある』三笠書房 より...