2022.05.08
春日大社権宮司、岡本彰夫氏の著書、『日本人だけが知っている 神様にほめられる生き方/幻冬舎』の中に「言霊」についてこう書かれています。
『すべての言葉には魂が宿っています。
それを「言霊(ことだま)」といいます。
言葉が大切であるのは、言葉自体に素晴らしい力が秘められているからなのです。
言葉にしたことが的中したという経験はありませんか?
「言い当たる」という表現もあります。
不吉なことばかり言っていると、実際に不吉なことが起きてしまうし、めでたいことや希望、理想を語り続けていると、不思議とそのようになってくるのです。
「寿(ことほ)ぐ」とは「言祝(ことほ)ぐ」、つまり言葉で祝うことです。
神様に奏上する「祝詞(のりと)」は、もっとも美しく、素晴らしい言葉を選び抜いています。
昔の人は不吉な言葉を用いることさえ嫌って、メデタイ言葉に言い換える「忌(い)み言葉」を使いました。
「猿」は「去る」と重なるので「えて」といい、「すり鉢」を「あたり鉢」、ひげを「剃(そ)る」のではなく「あたる」というのは、すべて不吉な言葉を避けるためです。
また、「し(死)」という言葉が入る「しょうゆ」を「むらさき」、「塩」を「波の花」、「梨」を「ありの実」と言い換えます。
「あし」の葉を「よし」の葉と言うのは、「あし」が「悪(あ)し」、つまり「悪い」につながるからです。
結婚式で「終わります」ではなく、「お開きにさせていただきます」というのも、祝宴で「鏡割り」を「鏡開き」というのも、すべてメデタイ言葉に変える工夫なのです。
悪いことばかりを想定し、不吉なことや心配ばかり思い浮かべていると、心の病気になってしまいます。
体の病気は薬で治せますが、心の病気を治すのは厄介です。
その特効薬は、常に素晴らしい理想を思い描き、それを言葉にして発し続けること。』
いつもネガティブなことばかり言っている人は、ネガティブなことに囲まれます。
「サイアク」と言えば、「サイアク」なことがもう一度起きます。
「やってられない」と言えば、「やってられない」ことが…
「ツイてない」と言えば、「ツイてない」ことが…
それが、「言霊の力」です。
古来より日本に伝えられてきた「言霊の力」を大事にしたいと思います。