2時間あるから元手の5ドルを増やす方法を考えてください。
こう言われたら、みなさんはどうしますか?
これはスタンフォード大学dスクールの最初の授業で学生に出した課題です。
よくあるのが、5ドルで道具や材料を買って洗車サービスやレモネード・スタンドを始める、というものです。
2時間でほんの数ドル儲かればいいのであれば、それもいいでしょう。
ところが、ほとんどの学生は、最終的に、こうしたありがちな答えのはるか上を行く方法を見つけました。
従来の常識を徹底的に問い直し、いくつものチャンスを掘り起こし、最大限の価値を生み出したのです。
あるチームは学生街でよくある問題に目をつけました。
土曜日の夜、人気レストランには長蛇の列ができます。
苛々(いらいら)しながら列に並びたくない人を助けようと考えたのです。
ペアを組んで、いくつかのレストランに予約を入れます。
予約時間が近づくと、長い待ち時間を嫌う客に売りました。
最高20ドルで買ってくれました。
いちばん利益の多かったチームは別のチームでした。
自分たちが使える資源は何なのか?
まったく違うレンズで捉え、650ドルを稼ぎ出しました。
自分たちにとって貴重な資源は、5ドルでも2時間でもない。
授業での3分間のプレゼンテーションこそが貴重な資源だとひらめいたのがミソでした。
そこで、クラスの学生を採用したいと考えている会社に、その時間を買ってもらうことにしたのです。
このチームは、会社の3分間のCMを制作して、プレゼンテーションで流しました。
とてもよくできていました。
自分たちには、職を探しているクリエイティブな学生という貴重な資源があり、発掘されるのを待っている。
学生たちはそのことに気づいたのです。
物事を近視眼的でなく、広くとらえようとしたチームが独創的なアイデアを出したそうです。
例えば、「5ドルを増やす」という問題も、多く稼いだチームは、5ドルにはまったく手をつけなかったといいます。
5ドルにとらわれてしまったら、5ドルという枠内だけの儲けになってしまうからです。
まさに、クリエイティブな解決法とか、創造力あふれるアイデアというのは、起業家精神の元を成すものです。
それが、ジャンルを超えた製品やサービスのイノベーションを促します。
コロナ後の混沌とした時代、今後、ますます起業家精神が大事になってきます。
なぜなら、何が起こるかわからない、先の見えない時代は、前例踏襲では生き残れないからです。