2022.04.11
池波正太郎氏の小説「真田太平記 五」の中にこんな一節があります。
『「危難に遭遇したときは、まず、笑うてみよ」 と、横沢与七は(向井)佐助に教えた。
数人の敵の刃や槍に囲まれ、 (もう、これまで......) 死ぬる覚悟をさだめたとき、与七は、「まず、笑うてみよ」 と、いうのである。
笑えるわけのものではないが、ともかく、むりにも笑ってみる。
すると、その笑いが、おもわぬちからをよび起こしてくれる。
むりに笑った笑いが、「なんの。ここで倒れてなるものか」という不敵の笑いに変わってくる。
ともかくも、まず、些細な動作を肉体に起こしてみて、そのことによって、わが精神を操作せよというのだ。』
これはまさに、中村天風師のいう「肉体は病気になっていても、心まで病気になってはいけない」というのと同じです。
「笑う」という肉体の操作をすると、心が変わってくる(落ち着いてくる)、ということです。
また、アメリカの著名なジャーナリストのノーマン・カズンズが重度の膠原病(こうげんびょう)で倒れたとき、「笑い」の療法で治ったのは有名な話です。
お笑いのビデオを見たり、本を読んで笑い漬けの生活を送ったら、見事奇跡が起きたのです。
たとえ、病気になったとしても、心まで病気になってはいけない…。
どんな状況になっても、「まず、笑ってみる」ことができる人でありたいですね。