2022.04.09
神さまは私たち人間に「忘れる」と「馴(なれ)れる」という有難い能力を与えて下さった。
神は私にさまざまな試練を課されたが、その代わりに人一倍多い、「忘れる、馴れる」の能力を授けられた。
私が数々の試練に耐えてこられたのは、そのお蔭である。
私はそう考えて神に感謝しているのだ。
友達は「そんなのただのノーテンキってことじゃないの」というけれど。
そうだ、「ふざける」ことも、もしかしたら神様が「おまけ」として与えて下さった才能かもしれない。
忘れて、ふざけて、馴れる…。
「なるほど、それが生きるテクニックですか」
テクニックだなんて、そんな生やさしいものではない。
それは力だ。
元気を出す源泉である。
人生が苛酷であればあるほど、それは増幅される。
それを私は身をもって知ったのである。
《まだ生きている》
『人間の煩悩 (幻冬舎新書)』佐藤愛子