2022.03.25
『善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも、戦うに非ざるなり。
人の城を抜くも、攻むるに非ざるなり。
人の国を毀(やぶ)るも、久しきに非ざるなり。』
《これは自分にしかできないという「オンリーワン」の分野を持ちなさい。
そうすれば戦う必要もなくなる。
よしんば争いごとが生じても、長引かせないことを第一義とするべきである。》
これは「非戦・非攻・非久」といって、孫子が戦略の三つの基本とするものです。
一つ目の「非戦」は、前述したように、とにかく戦っちゃあダメなんだ、戦わずに勝つ方法を考えなさい、ということ。
そのために大事なのは、ビジネスでも人生でも、こちらが誰にもマネできない、自分にしかできない「オンリーワン」の分野を持つこと。
勝てないとわかっている相手に、好んで戦いを挑んでくる者などいません。
次の「非攻」は、自分から力ワザで相手をねじふせるようなことをしてはいけない、 ということ。
勝てる相手であればなおさら、わざわざこちらから仕掛けることはありません。
戦争で言うなら兵糧攻めとか水攻めとか、相手が追い詰められて内部から崩れていくのを待てばいいのです。
ビジネスにおいても、自分が圧倒的な実力を持つことで、ライバルを不利な状態にすればよいのです。
そして第三の「非久」は、「もう争わないわけにはいかないな」となったら、それを長引かせてはいけない、ということ。
ビジネス上の競争でも、人間関係のもめごとでも、争いが長引くと泥沼化して双方が疲弊するだけ。
緒戦に全力投入し、勝って主導権を握り、早いうちに切り上げることが肝要なのです。
「負けるが勝ち」ということもありますから、当面は相手にわざと勝ちを譲ることも 戦略の一つでしょう。
その意味では、「十年後には勝つさ」と確信できる長期的な戦略がモノを言う、とも言えますね。
《戦略の基本は「非戦・非攻・非久」》
『超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール』三笠書房より