2022.03.01
ビールの愛飲者には、「ビールなら絶対に味がわかる!」と豪語する人がたくさんいます。
では、本当に違いがわかるのでしょうか。
米国カリフォルニア州にあるスタンフォード大学のダグラス・マッコーネルは、ビール愛飲者だけを60名集め、8週間にわたって3種類のビールを飲んでもらい、それぞれ点数をつけてもらいました。
ただし、ビールの中身はすべて同じで、ラベルに書かれた価格だけが違います。
さて、ビールの味の平均的な評価はどうなっていたのでしょうか。
念のために繰り返しますが、中身はすべて同じビールですよ。
毎日、ビールを1本ずつ飲んで、「とても飲めたものではない」なら0点を、「これはとても素晴らしい」と感じるなら4点をつけてもらいました。
最終的な評価は、あらら、ビールの愛飲者ばかりを集めたというのに、結局は価格が高いビールほど、高い得点をつけてしまっています。
もし本当に「ビールの味がわかる」というのなら、すべて同じ得点をつけていなければならないはずなのに。
私たちは、それほど正しく味を理解することはできないのです。
実際には、価格を見て目くらましされているだけ、というケースが多いのではないでしょうか。
米国スタンフォード大学のバーバ・シップは、125名の大学生に実験参加を要請し、「このドリンクを飲むと、頭が冴えてくるんです」と、エネルギードリンクを飲ませました。
ただし片方のグループのドリンクには、「1.89ドル」という価格ラベルが貼られていて、もう片方のグループのドリンクには、「0.89ドル」というラベルが貼られていました。
もちろん中身は一緒。
それからどちらのグループにも、ワードパズルを解いてもらいました。
すると、高い価格のエネルギードリンクを飲んだグループでは、解いたパズルの数の平均は9.7で、安いエネルギードリンクを飲んだグループでは6.75でした。
高いドリンクを飲んだグループは、「頭が冴えてくるはず」という思い込みが強化されたのか、本当に頭が良くなってしまったのですから、驚きの結果ですね。
ちなみに、薬についても「この薬は効くぞ」と思って飲めば、インチキな薬でも薬効が表れてしまうことが知られています。
これは“プラシボ効果”と呼ばれる現象です。
「安いものより高いもののほうが効くはずだ」と思って飲めば、本当にエネルギーが身体に溢れてきてしまうのかもしれません。
「もし効果がないなら、こんなに高いはずがない」と思って飲めば、本当に効くのですね。