社長ブログ

「あの人は仕事ができる」

2022.01.30

銀座のママとそのクラブのボーイの会話



ある日、お店のママが、あるテーブルを指さして、私に言いました。

「あのテーブルにいるお客さんを見てごらんなさい。あの人はねぇ、仕事ができる人よ」

ママが指さした先には、上司らしい会社員が、部下であろう若い社員を連れて飲んでいます。

顔に見覚えはなく、その日初めてやって来たお客さんです。

なのに、ママは、「あの人は仕事ができる人」だと断言する。

私が、「どうして、そんなことがわかるんだろう?」って思っていると、ママはこう続けました。

「あの人はね、自分が楽しもうとしてない。まわりを楽しませようとしてるでしょう」

言われてみれば、たしかにその上司らしき人は、「○○君、飲んでる? グラス空いてるよ」と声をかけたり、会話に入れていない人に「最近どう?」と話しかけたり、まわりに気をくばっていました。

お店に来るお客さんのなかには、「高い金を払っているんだから、オレを楽しませろ!」と言わんばかりに、店員に横柄な態度を取る人も少なくありません。

でも、このときのお客さんは、当時の私のような若造のボーイのことまで目に入っていて、「お兄ちゃん、こっちおいでよ。20歳過ぎてんでしょ? 一緒に飲もうよ」 なんて、気さくに声をかけてくれる。

まわりへの気づかい、観察力、そしてコミュニケーション能力。

私は、お店のママの「あの人は仕事ができる」という言葉が腑に落ちて、「ああ、カッコイイな」と思ったのを覚えています。