2022.01.03
年をとるともう1つ困った症状が表れます。
それは、「覚えていたことが、いざというときに出てこない」というものです。
会議のここぞという場面で発言権を得たのに、肝心のところで肝心の単語が出てこない。
あるいはメールや資料作成で文章を書いているときに、ピッタリな言葉があることはわかっているのに、どうしても出てこない......。
似たようなことは誰もが覚えがあるのではないでしょうか。
しかもこれ、年々ひどくなっている気がしませんか?
まさにこれこそ、加齢による衰え?
再び記憶の箱でたとえるなら、これは箱の中身がたくさんになってしまったことによって、いざ中身を引っ張り出そうにも見つかりにくくなっている状態です。
要は データベースが膨大になってしまったことで、検索に時間がかかるようになってしまっているのです。
「えっと、あの人、なんて名前だったっけ......」と、ハードディスクがカリカリカリカリと検索し続けているイメージです。
だから、これも決して記憶力そのものが落ちているわけではないのです。
これを払拭するには、なるべくふだんからよく検索にかけておくことに尽きます。
その記憶と結びついている紐を、しょっちゅう引っ張ることで強化するイメージです。
要はそのことをよく考え、よく話すようにすれば、いざというときに思い出せる確率が高くなるというわけです。
せっかく覚えた記憶を、すぐ忘れてしまう “短期記憶” にせず、いつまでも覚えて いられる “長期記憶" にするには、「復習」することが大切です。
ある実験によれば、あることを一度学習しただけの場合と、学習した後に3回復習した場合では、記憶の定着率が3~4倍も違うという結果が出ています。
また、復習は1回目で覚えたことをある程度覚えているうちに行うことで、記憶の定着率を大きく上げられます。
たとえば出会った人のことを忘れないために、“復習" を兼ねて名刺を整理する。
毎日、家に帰ったら名刺入れを整理し、その日に出会った人のことを思い出すのを習慣にするといいかもしれません。
また、せっかく読んだ本の内容を忘れたくなければ、いいなと思った箇所に付箋を貼ったりページを折り込むなどしてマーキングしておき、読み終わった後にもう一度その箇所を読み返してみるとか。
“エピソード記憶に変換して覚える” ということに加え、この“反復法”を組み合わせれば、記憶はより確固たるものとなること間違いなしです。
『あなたの脳のしつけ方』青春文庫より