2022.01.02
やはり年齢を重ねることで、脳が衰えて記憶力が悪くなるのでしょうか?
それとも、それは単なる錯覚にすぎないのでしょうか?
結論をいうと、どちらも正確ではありません。
果たして年をとると、人の記憶力は いったいどうなるのでしょう?
まず押さえておきたいのが、人は年齢を重ねても決して“記憶力”そのものが落ちるわけではないということです。
では、なぜ年をとると物忘れが激しくなるのか。
それはこうです。
脳の記憶を保管するデータベースを “箱” にたとえるなら、箱の 容量自体は変わらないものの、その "入り口" が狭くなるからです。
入り口が狭くなることで、ものを入れづらくなる。
だから年をとるとものが覚えられないというよりも、そもそも脳がものをあまり覚えようとしなくなるのです。
なぜ記憶の箱の入り口が狭くなるのでしょう。
脳を動かすにはかなりの酸素と栄養が必要です。
したがって、できることなら余計な動きは省略し、できるだけリソースを節約したい。
だから年齢を重ねてさまざまな記憶が箱を満たすようになると、新しい経験に対して「これはもう必要な情報ではない」と判断して記憶の箱に入れないようにするのです。
でも、いくら脳が記憶を拒否しても、覚えたいものは覚えたいですよね。
そんなときこそ、「エピソード記憶」が役に立ちます。
ただ単語として覚える意味記憶では 脳が “不必要" とジャッジする可能性が高いけれど、エピソードや感情、五感などと結びつけることでエピソード記憶として覚えようとすれば、脳が「これは必要!」とジャッジする。
こうしてみごと記憶の箱に収まるというわけです。