2021.11.24
「遊びに行くのはモテに行くことだと私は信じている。
縄のれんや、煮干しをかじって立ち飲みする酒屋の店さきに行くのだって、どこかしらモテるために行くのである。
縄のれんのおばちゃんや、酒屋のおっさんが、笑顔を向けて歓迎し、たがいに気の合うことがうれしいのである。
酒を飲んで楽しいのは、私にとって、何のかざりもなく相手と共感できるときである。
そのためによく遊ぶのである。
私の人生は仕事で明け暮れはしたが、遊ぶのもまことによく遊んでいる。 これは、私のささやかな人生哲学たる、相手の身になることの初歩なのだ。
金を出すのはオレだというので相手を無視したところで、そこに何の楽しさがあるだろうか。
遊びというのは、大切なものである。
遊びのへたな人間は人にも好かれないし、商売もできない。
またとない時間を、その場にいる人たちとみんなで、より楽しく、よりほがらかに、 共感の笑いとともにすごさずして何の遊びだろう」
《遊びをせんとや生まれけん!》 本田宗一郎