2021.10.22
世界的なデザイナーのコシノジュンコさんはお母さんの綾子さんの影響を受けられた。
そのお母さんは90を越えても10数人の恋人を持ち、「私の人生はこれからや」が口癖だったという。
その口癖はコシノさんに引き継がれている。
観世宗家の観世清和氏の祖先は能の大成者、観阿弥と世阿弥である。
その世阿弥の言葉がある。
「時分の花より誠の花」
若さが放つ花が時分の花である。
そういう花は時と共に褪せる。
修養を日累月積して咲くのが誠の花である。
その花は年を経るごとに美しさを増す、ということである。
また、こうもいう。
「住する所なきをまず花と知るべし」
止まらず学び続けることこそ花だ、ということである。
修業にも人生にも、これでいいということはない。
常にこれからと思い前進せよ、そこに花がある、と世阿弥は教えている。
安岡正篤師は『人間を磨く』(弊社刊)の中で、鎌倉彫の名人扇ヶ谷(おおぎがやつ)三郎の言葉を紹介している。
「芸のゆきどまりを見せずして、一期を終るをまことの芸とす」
「古人曰く、命にはおわりあり。芸には果てあるべからず」
求道(ぐどう)に生きる人は皆、同じ気概を持つようである。
安岡師自身、「不肖も生ける限りは、その行詰りを見せずして、よく勉強したいと念じておる」と付言している。