2021.09.13
ハーバード・ビジネス・スクールのアリソン・ブルックスによると、不安を感 じると、たいていの人は、「落ち着け」などと自分に言い聞かせるそうです。
けれども、これはあまり効果的ではない、とブルックスは言います。
不安を「消す」作戦は、あまりうまくいかないのです。
では、どうすればいいのでしょうか。
ブルックスによると、 「ワクワクしてきたぞ」 「高ぶってきたぞ」 と自分に言い聞かせるほうがいいのだそうです。
自分に向かって話しかけることを『セルフトーク"というのですが、これを上手に使うと、不安もやる気に変えられるのだそうです。
「落ち着け」と言われても、落ち着けないから......
ブルックスは、採点機能のついたカラオケで歌ってもらうという、とてもユニ ークな実験をしました。
「自分の歌声を採点される」というのは、だれにとっても多少は緊張することです。
歌う前に「落ち着け」と独り言を言わせるグループと、「ワクワクしてきたぞ」と独り言を言わせるグループに分けて、両者の得点を比較してみたのです。
その結果、「落ち着け」と言わせたグループの平均得点が52.98点だったのに対して、「ワクワクしてきたぞ」と言わせたグループの平均得点は80.52点でした。
なんと30点近い開きが出たのです。
もちろん、「ワクワクしてきたぞ」と言わせたグループに、歌が上手な人ばかりを集めたのではありません。
不安を感じたときに、「落ち着こう」と自分に言い聞かせても、落ち着けるわけがありません。
そうではなくて、「よし、こんなにワクワクしてきた」と自分 に言い聞かせるのがポイントです。
「そういう独り言をつぶやいていれば、不安の感情をうまく「やる気」に結びつけることが可能になるでしょう。
『いちいち気にしない心が手に入る本―――何があっても「受け流せる」心理学 (王様文庫)』より