2021.09.01
「困っても困らない」という珠玉の一文があります。
『ひろい世間である。
長い人生である。
その世間、その人生には、困難なこと、難儀なこと、苦しいこと、つらいこと、いろいろとある。
程度の差こそあれだれにでもある。
自分だけではない。
そんなときに、どう考えるか、どう処置するか、それによって、その人の幸不幸、飛躍か後退かがきまるといえる。
困ったことだ、どうしよう、どうしようもない、そう考え出せば、心が次第にせまくなり、せっかくの出る知恵も出なくなる。
今まで楽々と考えておったことでも、それがなかなか思いつかなくなってくるのである。
とどのつ まりは、原因も責任もすべて他に転嫁して、不満で心が暗くなり、不平でわが身を傷つける。
断じて行なえば、鬼神でもこれを避けるという。
困難を困難とせず、思いを新たに、決意をかたく歩めば、困難がかえって飛躍の土台石となるのである。
要は考え方である。
決意である。
困っても困らな いことである。
人間の心というものは、孫悟空の如意棒(にょいぼう)のように、まことに伸縮自在である。
その自在な心で、困難なときにこそ、かえってみずからの夢を開拓するという力強い道を歩みたい。』
一休宗純(そうじゅん)禅師が、亡くなる前、弟子達に三巻の遺言を残したという。
もし、寺でどうにもならないほど、困ったことがあったら、この三巻の遺言を開けなさい、と。
一休禅師が亡くなって何年かして、お寺にほんとうに困ったことが起こり、その遺言書を開けることになった。
すると…
一巻目には「大丈夫」
二巻目には「心配するな」
三巻目には「何とかなる」
と、書いてあったという。
嫌なことや、困難なこと、心配事から逃げれば逃げるほど、それらに追いかけられる。
同じような、嫌なこと、困難、心配事がまた起こるということだ。
人生に起こる様々な問題は、生まれる前に、自分が自分に設定してきたといわれる。
その問題を乗り越えることによって、自分が成長するためだ。
そのため、自分に必要な問題は、何回でも繰り返し、それを乗り越えるまでやってくる。
だからこそ、すべての困難や心配事は、「大丈夫」「心配するな」「なんとかなる」。
心配またよし、困っても困らない、という気持ちで日々過ごしたいですね。