2021.08.20
『以前、あるテレビ番組で、受験に成功した高校生や大学生を呼んで、彼らの勉強法を聞いてみたことがありました。
すると多くの人が、休憩したり寝るために勉強を離れるときは、キリの悪い中途半端なところでやめていたのです。
問題集はキリのいいところまで解かないで、あえてハンパなところでやめる。
たとえば大問を終えてからやめるのではなく、(1)~(5) ある小問のうち(3)を解い ている途中でやめてしまうという具合です。
こうすることで、ごく自然にまた勉強を始められる。
受験に成功した人の多くは、こうした工夫を日々繰り返していたのです。
また、キリの悪いところでやめることで、ほかのことをしているときでも頭が完全ではなくスリープの状態になることは先ほどご説明しましたが、意外とスリープ状態のときにいいアイデアや答えが出てきたりするものです。
たとえば仕事で行き詰まったら、そこでいったんトイレに行く。
するとトイレに入っているあいだに「これだ!」という案が思い浮かんでくるというようなことです。
というわけで、みなさんも中断するときはぜひキリの悪いところでやめてみてはいかがでしょう。
企画書は項目の途中でやめる。
メールは1通を書いている途中でやめる。
これを追究するなら、思い切って文章をやめるときは「。」ではなく「、」のところでやめてしまったり、数学の図形の問題なら補助線を引いたところでやめてしまうのもいいかもしれませんね(笑)。
いずれにせよ、この「キリの悪いところでやめる」というのは、本当に学校で教えるべきなんじゃないかと思うくらい、効果的な方法だとわたしは思います。』
「ツァイガルニク効果」とは、今から約90年前に、ドイツのゲシュタルト心理学者のクルト・レヴィン氏と、女性心理学者のブルーマ・ツァイガルニク氏によって提唱された。
「人は達成したことは忘れやすいが、中断したり未達成なものはよく覚えている」というもの。
たとえば、広告などでも「続きはウェブで…」とか、テレビの番組で「さあ、盛り上がってきました。続きはCMの後で」とか、答えや続きが知りたくなって仕方なくなるように仕向けるものだ。
「不完全なものが人をひきつける(印象に残りやすい)」ということでもある。
「そのあとが、気になってしかたがない」という状態。
まさに、これは人も同じ。
「別れたあとに、また会いたいと思うような、余韻や余情を残す人は魅力的な人間である」(行徳哲男)
余韻とは、鐘の音などが消えたあとも、なお耳に残る響きのこと。