2021.08.19
たとえば、仕事の資料づくりに没頭し、キリのいいところまで終わったので、いったん休憩することに。
ところが、お茶を飲んだり人と話したりSNSをチェックし ているうちに、作業に戻るのがだんだんおっくうになってくる。
そろそろ作業を再開しなくちゃ。
でも今日はけっこうがんばったから、もうちょっ と休んでもいいか。
そんなせめぎ合いを何ターンか繰り返した末になんとか同じ作業を再開したときは、休憩に入ってから相当な時間が経過していた。
しかも、いざ再開したものの、どうにもやる気が乗ってこない......。
これと似たような経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
キリのいいところで作業をやめたら、せっかくの集中もそこでプッンと切れてしまう。
これを解消するには、いったいどうすればいいでしょうか。
答えは、「作業をやめるときは、あえてキリの悪いところ"でやめる」ことです。
いったいどういうことなのか、ご説明しましょう。
もう一度想像してみてください。
あなたは大切な仕事の企画書をつくっているとします。
複雑でボリュームも多いので、集中して作業をしているにもかかわらずなかなか終わりません。
そこであなたはいったん休憩することにする。
しかも、1枚目の終りや項目の終わりといったキリのいいところではなく、思い切って、“文章の途中”でやめてしまう。
すると、どうしたことでしょう。
休憩しているあいだもその文章のことが完全には頭から離れず、「次はどんなふうに展開していこうかな......」と頭の片隅で無意識に考えてしまう。
まさにパソコンのスリープの状態に近いかもしれません。
表面上は停止しているように見えつつも、バックグラウンドでは動いている状態です。
いざ作業を再開すると、頭の片隅で気になっていただけに、ごく自然にまた作業に向かえるし、中断前の集中状態にもすんなり入れるというわけです。
このように、やり切ったことよりも達成できていないことのほうが、より強い印象として残るという現象を、「ツァイガルニク効果」と呼びます。
そしてじつはこれ、集中力が高いといわれる人ほど実行していたりするんです。
『あなたの脳のしつけ方』青春文庫