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社長のつぶやき

比喩ではなく...

2019.10.17

「温かな気持ち」「高い地位」などの言葉を私たちは当たり前のように使っています。

「蜜のような甘い言葉」は、愛の囁(ささや)きの比喩として、だれでもすぐに理解できます。

でも考えてみれば、これは不思議な話です。

世界にはさまざまな言葉や文化、習慣があるのに、なぜこの比喩が注釈もなく翻訳できるのでしょうか。

この疑問に、現代の脳科学はこう答えます。

「それは比喩ではなく、実際に脳の味覚に関する部位が活動しているからだ」…愛の言葉と蜜は、脳にとっては同じ刺激なのです。

これだけなら驚くようなことではないかもしれませんが...

テルアビブ大学のタルマ・ローベル教授は、この因果関係が逆になっても成り立つことを発見しました。

「甘いものを食べながら聞いた言葉は甘く感じる」のです。

ほんとうにこんな不思議なことがあるのでしょうか。

それを次のような実験で確かめてみましょう。

学生がエレベーターに乗ると、そこには本とクリップボード、コーヒーカップで手がふさがった助手がいます。

助手は学生に、「ちょっとコーヒーカップを持ってくれませんか」と頼みます。

次に学生が研究室に入ると、実験担当者からある(架空の)人物についての資料を読むようにいわれます。

その後、学生にこの人物の印象を尋ねます。

ランダムに選ばれた学生が同じ資料を読むのだから、質問への回答に統計的な差は生まれないはずです。

しかし興味深いことに、特定の質問項目にだけはっきりとしたちがいが表れました。

それは、「親切/利己的」など、性格が温かいか冷たいかを連想させる質問でした。

なにが学生たちの回答を左右させたのでしょう。

じつはエレベーターのなかの助手は2種類のコーヒーを持っていました。

ホットコーヒーとアイスコーヒーです。

驚いたことに、エレベーターのなかで一瞬、ホットコーヒーを持った学生は資料の人物を穏やかで親切だと感じ...

アイスコーヒーを持った学生は怒りっぽく利己的だという印象を抱いたのです。

温度の感覚は、無意識のうちに、その後の人物評価に影響を与えるのです。

こうした知見から、ローベル教授は次のようにアドバイスします。

◆初対面のひとには温かい飲み物を出した方がいい。

◆交渉の際は、やわらなかな感触のソファに座らせると相手の態度が柔軟になる。

◆相手より物理的に高い位置に座ると、交渉が有利になる。

◆相手と冷静に話し合いたいときは距離を取り、感情に訴えたいときは身体を寄せる。

◆プレゼンの資料は重いものを用意する。

◆ひとは重い本を持つと、それを重要だと感じる。

◆赤は不安や恐怖を高める。試験問題を赤で書いたり、受験番号を赤で印刷しただけで成績が下がる。

◆その一方で、赤は注目を引く。スポーツではユニフォームが赤のチームが有利だし、赤い服の女性や赤いネクタイの男性はもてる。

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