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社長のつぶやき

心がすべて決めている (稲盛和夫氏)

2019.10.08

これまで歩んできた80余年の人生を振り返るとき、そして半世紀を超える経営者としての歩みを思い返すとき、いま多くの人たちに伝え、残していきたいのは、おおむね一つのことしかありません。

それは、「心がすべてを決めている」ということです。

人生で起こってくるあらゆる出来事は、自ら心が引き寄せたものです。

それらはまるで映写機がスクリーンに映像を映し出すように、心が描いたものを忠実に再現しています。

それは、この世を動かしている絶対法則であり、あらゆることに例外なく働く真理なのです。

したがって、心に何を描くのか。

どんな思いをもち、どんな姿勢で生きるのか。

それこそが、人生を決めるもっとも大切なファクターとなる。

これは机上の精神論でもなければ、単なる人生訓でもありません。

心が現実をつくり、動かしていくのです。

いかに生きるかという問いには、すなわちいかなる心をもつかと同義であり、心に何を描くかが、どんな人生を歩むかを決定します。

純粋で美しい心をもって生きる人には、それにふさわしい、豊かですばらしい人生が拓(ひら)けてくるものです。

一方、自分だけがよければいいという狭量な思いや、人を蹴落としてでも自分だけが利を得ようとする邪(よこしま)な心をもつ人は

一時的に成功を収めることはあっても、やがては没落する人生を送ることになってしまいます。

いくら努力を重ねても、いっこうに人生がよくならないと嘆く人がいたら、まずは自らの内側に目を向けて、正しい心をもっているかどうかを問い直さなければなりません。

なかでも人がもちうる、もっとも崇高で美しい心…それは、他者を思いやるやさしい心、ときに自らを犠牲にしても他のために尽くそうと願う心です。

そんな心のありようを、仏教の言葉で「利他」といいます。

利他を動機として始めた行為は、そうでないものより成功する確率が高く、ときに予想をはるかに超えためざましい成果を生み出してくれます。

事業を興すときでも、新しい仕事に携わるときでも、私は、それが人のためになるか、他を利するものであるかをまず考えます。

そして、たしかに利他に基づいた「善なる動機」から発していると確信できたことは、かならずよい結果へと導くことができたのです。

もちろん、すべてが「やさしい思いやり」の心だけでうまく運ぶわけではありません。

何事かなそうとすれば、いかなる困難にも負けず、果敢に突き進む強い意志、何があっても成し遂げるというすさまじいまでの熱意が必要です。

そうした“燃える闘魂”もまた、善なる動機に基づいた目的の成就に必要なもので、やさしい利他の心に裏打ちされてこそ、揺るぎのない強固なものになるのです。

明治維新が成功したのは、勤王の志士たちに「世のため、人のため」という思いに基づいた“大義の御旗”があったからです。

世の中を改めることなくしてはこの国の近代化はならず、日本は欧米列強の植民地にされてしまう。

その危機感や気概…私心を捨てて、国を思う心が彼らをつき動かし、維新回天の業を成し遂げるエネルギーとなったのです。

日本航空の会長に就任した際、私はすべての従業員に向けて、次のような言葉を紹介しました。

…新しき計画の成就は、ただ不屈不撓(ふとう)の一心にあり。さらばひたむきにただ想え、気高く、強く、一筋に…

これはインドでヨガの修行をして悟りをひらき、日本でその思想と実践に基づく生き方を伝えた哲人・中村天風の言葉で、かつて成長を続けていた京セラにおいて掲げたスローガンでもあります。

私はこの言葉をあらためて、日本航空の全社員に向けて紹介したのです。

このなかでも大切なのは、「気高く」という言葉です。

美しく気高い心を根幹にもっているからこそ、ひたすら強く揺るぎのない「思い」をもつことができる。

何が何でも成し遂げるという強烈な思い、どんな苦境にも負けずに進もうという揺るぎない意志が、事を貫徹するためには必要です。

そういう思いのもと、かかわる人たちが一丸となって最大限の努力をなしたときに、事は成就する。

その根幹となるのも、美しき利他の思いなのです。

何事をなそうとも、いかなる運命を歩もうとも、私たちが生きているかぎり、めざすべきものは、他によかれかしと思い、他のためによきことをなす「善なる心」です。

それは、「真・善・美」という言葉でいい表すことのできる、純粋で美しい心といってもよいでしょう。    稲盛和夫

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