春風を以て人に接する
2019.03.12
「春風を以(もっ)て人に接し、秋霜(しゅうそう)を以て自ら粛(つつし)む」
これは江戸時代の儒者・佐藤一斉の『言志四録』に出てくる言葉です。
人に対するときは春風のように穏やかで和やかな心、伸びやかで寛大な心で接し、自分に対するときは秋の霜(しも)のように鋭く烈(はげ)しく厳しい心で律していかなければならない、という意です。
対人関係の基本にこの心がけを据えることができる人は、修業や修養によって自分を厳しく鍛えている人です。
だが、現実にはこの逆の人が増えているように思われます。
人には秋霜の心で接し、自分に春風の心で対する人です。
何か問題が起こると、その原因や責任は他人のせいにして、自分には関わりがないとばかり顔を拭ってやり過ごそうとする人が何と多いことか。
自分に対して春風の心でいるから、そうなるのではないでしょうか。