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社長のつぶやき

 残心

2018.08.17

「残心」...
聞き慣れない言葉だと思うが、長年、武道を続けてきた私は、

この残心こそが武士道を武士道たらしめているもの、武士道の真髄、武士道の奥義だと考えている。
残心は勝負が決してからの心のあり方を示す。
勝負が決まっても油断をせず、

相手のどんな反撃に対しても対応できるような身構えと気構えを常に心がけることを表す。
残心は殆どの武道に共通する心身の構えである。
たとえば弓道における残身は、矢を射った後も心身ともに構えと集中力を崩さずに、

目は矢が当たった場所を見据えることとなる。
空手や居合道では技を行なった後、

特定の体の構えを取る、相手との間合いを測って反撃方法を選ぶ、

一拍おいて刀を収めるといった一挙動を残心と呼ぶ。
心のある試合は、気迫に満ちながら静謐(せいひつ)を保ったまま終わる。
「勝っておごらず負けて悔やまず、常に節度ある態度を堅持する」
これぞ残心である。
サンフランシスコ州立大学の心理学者で

柔道のアメリカ代表監督でもあったデイビット・マツモトの研究によれば、

「やった!」と大きな喜びがもたらされると、

アドレナリンが出て体がグッと硬くなる。
だから勝った瞬間に拳に力が入って、

結果的にガッツポーズのようなスタイルをとるのは誰にでも起こる本能的な行為だという。
しかし逆にいえば、

本能的な行為だからこそ逆に精神的、肉体的にどうやってそれをコントロールするかが課題になるのである。
本能を抑制できるところに人間の人間たるゆえんがあるのなら、

感情表現のコントロールはとても人間的なふるまいといえないだろうか。
そして、その感情コントロールを残心は教え諭している。

『日本人の知らない武士道』文春新書から

アレキサンダー・ベネット氏は、ニュージーランドから来日し、高校生のときから武道を始めたらしい。
剣道七段、居合道、なぎなた五段等、合わせて十九段の段位を持つ。
試合が終わったあとの「残心」は、武道に限らず色々な場面で必要だ。
たとえば、サッカーなどで、試合が終わる何分か前に一点を入れ、

これで勝ちだ、と思った瞬間に逆転された、などという事例はいくつもある。
これで勝ったという気持ちが、気の弛(ゆる)みを引き起こす。
喜びを爆発させるという、感情をあらわにすることが必要なときもある。
しかし、仕事でも個人でも、ここ一番の大事な勝負の場においては違う。
「勝って驕(おご)らず、負けて腐(くさ)らず」
「残心」をもう一度見直したいですね♬。

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