お城に松の木が多いのは?
2018.06.03
松は昔、美観、風致というより、栄養食、非常食として利用されていました。
松葉は殺菌力があることでも知られていますが、
とくに葉緑素やビタミン、ミネラルも含まれて、食べるほうに重きをおいていました。
中国には松の葉や実、樹脂だけを食べて仙人になった、などという話もあるくらいです。
日本でも、古くから松の葉や皮は凶作のときに食用にしてきました。
松の荒い皮を取り除き、白い部分の生皮を臼でついて水に浸し、密閉しておくと、
やがて苦みや臭みが抜けます。
その汁を皮でこして干すと粉ができるので、
その粉を麦の粉などに混ぜて餅をつくりました。
こうして手間をかけて、だんごや香煎もつくって食べました。
すべては飢饉対策の知恵だったんですね。
江戸時代の農民を苦しめた近世の3大飢饉といわれる
享保17年(1732)、天明2年(1782)、天保4年(1833)のときには、
街道の松並木が丸裸にされたほどだといいます。
想像しただけでも恐ろしい光景です。
ことに戦国時代では、城を大軍に幾日も包囲され、
城に立てこもって抗戦することもしばしばです。
城ですから、死守を覚悟で戦うわけですが、相手は城内の食糧がなくなるのを待つ持久戦法できます。
いわゆる兵糧攻めという戦法ですが、そのとき役立つのが松の木なのです。
非常事態に備えて、蓄えた梅干し、みそなどがなくなり、
庭木、草、茎、根も食べ、最後に城の美観も兼ねた松の木に手が伸びるんですね。
ただの防風林や景観だけのイメージでしたが♬
果たしてどんな味なんだろう...松の木(笑)