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社長のつぶやき

『1坪の奇跡』

2018.04.14

『1坪の奇跡』
ジュンク堂書店池袋本店横の「東(あずま)通り」を入って約5分。
すごい若く綺麗な女性が集まる「天狼院書店」がある。

たった15坪の書店なのに、「本屋にこたつがある!?」と話題になり、
開店わずか3年で153件のマスメディアに取り上げられた。

なかでも、店主の三浦崇典氏は『AERA』の「現代の肖像」にも登場した。
ただ、その起業のきっかけが、1冊の本だったというから驚きだ。


その1冊とは、稲垣篤子著『1坪の奇跡』。


たった1坪、「羊羹」と「もなか」の2品で年商3億円。
吉祥寺ダイヤ街で40年以上行列が途絶えない奇跡の店があるという。
どんなお店なのだろうか?
行列の先にあるのは、たった1坪の和菓子屋である。
みんなが狙うのは、1日150本限定の「幻の羊羹」だった。
この「幻の羊羹」を求める行列が、40年以上、途切れたことがないという。
寒い中、朝早くに多くの人がこの行列に並んでいた。
この行列の正体は、いったい、何なのだろう。
世界に冠たる「小ざさモデル」
あのティファニーの1平方メートルあたりの売上を、
アップルストアが抜いたという記事を見たことがあるが、
試しに、1坪3億円売り上げる小ざさと比べるとどうなるだろうと計算したことがあった。
それで出てきた数値が驚異的だった。
ティファニーを凌いだアップルストア。
吉祥寺「小ざさ」は、なんと、1平方メートルあたり、
そのアップルストアの実に20倍ほど売り上げていることがわかった。
もしかして、吉祥寺「小ざさ」こそが、世界最強のビジネスなのかもしれないと考えた。
しかし、どうも、数値が合わないのだ。
「幻の羊羹」は、1本600円ほどでしかなく、1日限定150本である。
と、すれば、1日に羊羹の売上は9万円程度、月に270万円、年間でも3200万円ほどでしかない。
3億円には到底至らないのである。年商の1割程度でしかない。
吉祥寺「小ざさ」の商品は、幻の「羊羹」と「もなか」の2品しかない。
そうだとすれば、簡単な引き算で、「もなか」が売上の9割を占めていることになる。
実に、「もなか」で年商2億7000万円以上である。「マーケティング」的にみれば、
吉祥寺「小ざさ」のモデルは、こういうことになるのではないだろうか。
幻の羊羹は、「ブランディング」のための商材である。 
現に幻の羊羹は、そのずっしりとした重みからその形から、
金の延べ棒のように感じられ、到底600円の商品とは思えない。
その「幻」という概念が、本来の価値以上のものをもたらしている。
それは、羊羹のブランディングが成功した現れと見ることもできる。
そして、その「ブランディング」の成功で上昇したブランド価値を利用して、
大量生産している「もなか」を売っていると見れなくもない。
いち早くネット販売も取り入れて、1坪という物理的な制限を突破しているし、
店舗自体は1坪と小さいながらも、別な場所で、製造工場が存在している。
なぜ、40年も行列が途絶えないのか?
実は、極めて優秀なインターネット通販企業という側面も小ざさにはある
おそらく、吉祥寺「小ざさ」の本質を知らないマーケターなら、
そんな分析結果をしたり顔で示すかもしれない。
けれども、一口、「小ざさ」の幻の羊羹を口にすれば、
そんな後付のマーケティング理論など、何の意味もなさないことが明白になるはず。
味こそが理論!「小ざさ」の羊羹は、圧倒的なのだ。
それを口にする人を最大限に幸福にさせる「ハイパーコンテンツ」なのである。
これを食べてしまえば、ビジネスモデルは、
後からまるで水が合理的な山肌を流れて、川となるように、
自然な流れで構築されていったに過ぎないことを思い知るだろう。
1坪で年間3億円売り上げ、40年間行列が途絶えない「小ざさ」のビジネスの秘密は、
決して、そのビジネスモデルにあるわけではない。
その「羊羹」と「もなか」の圧倒的な旨さに秘密があるのだ。
まるで芸術の領域にまで高めた、その創作の秘密は、『1坪の奇跡 』に詳しく描かれている。
「羊羹をつくり続けていると、感動的な喜びを味わえる瞬間があります。 
炭火にかけた銅鍋で羊羹を練っているときに、ほんの一瞬、餡が紫色に輝くのです。
透明感のある、それはそれは美しい輝きで、小豆の“声”のようにも感じられます」
ヘラを銅鍋の中で動かす時に、「半紙一枚分の厚さを残す」という境地。
それこそが、アップルやティファニーを凌いだ、吉祥寺「小ざさ」の強さの秘密なのだ。
今こそ、小ざさに学ぶべきもの
我々は商売において、マーケティングやビジネスモデルを優先しがちだが、
実際のビジネスとは、マーケティングだけでは成り立たない。
マーケティングを極めようと思えば、やはり、コンテンツ主義に帰結すべきなのではないだろうか。
SNSやオウンドメディアが強い、つまりは、個々人の消費者が大きな発言権を持つようになった現代こそ、
我々は、吉祥寺「小ざさ」に多くを学ぶべきなのかもしれない。
逆説的に言うと、我々、サービスや商品の提供者は、
コンテンツの制作・製造に集中し、良いコンテンツさせ生み出せば、
消費者がヒットさせてくれるという、創る人優位の時代に突入したと言えるかもしれない。
もし、ビジネスで何かに迷ったら、始発で吉祥寺に出かけて、ダイヤ街の行列に並んでみるのもいいだろう。
40年以上途絶えたことのない行列に並ぶとき、そして、幻の羊羹を口にしたとき、
きっとあなたはマーケティングの本質を理解することだろう。
ビジネスモデルは、結果論にすぎない。学術のためではなく、
実際にビジネスをするのなら、コンテンツ主義こそが、最良のマーケティングだろうと思う。

ここまで聞くと、是非とも食べてみたいね吉祥寺「小ざさ」(笑)♬

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